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(後編)
綾部と計里さん、名前だけ壱千さんお借りです。
綾部と計里さん、名前だけ壱千さんお借りです。
◆◆◆
『とっさに手が出たんだ』
嘘じゃないのよ、と
自分の言った言葉をなんどもベッドのなかで繰り返す
『どういう心境の変化だ?』
アイツは言った、そんなのこっちが知りたい
あの日は練習のために会場へ行った
自分たちの番が終わって、着替えて、一休みして
他のグループを冷やかしてやろうかしらと、気まぐれに思った
裏からまわってみれば、普段よく鉢合わせするバンドの練習が終わりかけてて
一通り眺めてみれば顔見知りのあのコがいて
そのコもアタシに気がついて
声でもかけようかと近づけば ぎぎぎっ と耳障りな音
それに気付いた時 オレ は駆け出していた
「ただ、それだけ・・よ。」
と、呟いてそのまま眠った
* * * *
『どうしたのそのケガ!アヤ、大丈夫?』
アタシ はその言葉が嫌いだ。
「・・やっぱり無理かー」
しばらくは利き手は使いにくくなる・と言われたのは分かってたんだけど
ここまで書きづらいとはねー。
まぁ、授業とかはクラスの誰かに借りるとして、
ただ困るのはいいフレーズとか浮かんだときにとっさにメモできないっていうね、
当分はあそこで練習だから、あそこでだいたい過ごすわけだけど
・・・・・ちょー不便。
「はぁ。」
そんな訳で今アタシは会場の空き部屋にいるわけで
「せんちゃん来ないかなー・・」
いたら代筆頼むんだけど、でもせんちゃんも学校とかバイトで急がしーし。
ひまだな・・
「アヤ?」
そう思ってたら、遠慮がちに入ってくる影が一人
・・・ありゃ
「やっほー、計里ちゃん。今日早いのねー」
今日は早く終ったから・と彼女は続けて、アタシの隣に腰を下ろした
「・・大丈夫?」
ちくり、ああイライラする
「うーん、まぁこんな感じだけど^^」
嫌いよこの言葉、アタシはそんなに弱くない、そんな顔して聞かないで、たいして心配もしてないくせに
「・・・」
「・・・」
え、気まずっ・・・
多分このあと彼女の仲間たちも来るだろうから、とこの空気から逃げようと腰を上げかけた
「アヤ、ごめん。」
唐突に、いや待ち構えてたかのように彼女は言った
「――っ、別に計里ちゃんのせいじゃないわよ^^」
あれはアタシのへまだもの~・なんて彼女の髪に触れた
そしていつもの様に いつのも笑顔で
「ありがとう、だから、気にしないで?」
そう言えば、みんな微笑むの、いつもならこれで上手く行く
はずだった
「・・―そんな顔しないで」
ぴしゃり・と彼女は言い放って、アタシの手を払った
「そんな風に笑わないで。」
――は、なにそれ。
じゃあどうしろって言うの
こうすればアタシもアンタも傷つかずに済むんじゃないの?
「アヤ、これ詩書いてたの?」
意味が分からなくてしばらく黙ってたら、彼女はさっきまでアタシの書いてた紙をしげしげと眺めてた
「汚い字・・」
「ほっといてよ、ほんとはちゃんとかけますー。だいたいこんな腕で書けるわけ・・」
はっ・と口をつぐむも、時すでに遅し
「計里ちゃ・・」
「じゃあ、私が書いてあげる。」
・・え。
彼女がどんな悲しそうな顔をしてるのかと思いきや、うっすら微笑んでアタシを見上げてた
「ほら、座ってよ」
「いや、でも」
「遠慮はいいよ、こっちの時は壱千さんが来るまで私が代筆してあげる。」
なんて勝手に言いながら手にボールペンをもって構えて、さあ早く!なんて
――ぷっ。
「・・なんだよそれ。」
思わず噴出した、なんだか変におもしろくて
「・・・私、そっちの笑ったアヤのほうが好きだよ。」
「そ・う・・?」
うん、と素直に頷かれるとやけに気恥ずかしい、しまったさっきのは素だったと気付いたのは数分後
「アヤ?」
「大丈夫?」
そうか、違うんだ。
* * * *
「うん。」
「まだ出来ない事があったら私に言って、」
「わかった、そうね・・じゃあ」
オレは笑って言った
だいじょうぶ、って。
そういうとキミも嬉しそうに笑った
(キミの言ったそれは、オレの魔法の言葉でした)
◆◆◆
『とっさに手が出たんだ』
嘘じゃないのよ、と
自分の言った言葉をなんどもベッドのなかで繰り返す
『どういう心境の変化だ?』
アイツは言った、そんなのこっちが知りたい
あの日は練習のために会場へ行った
自分たちの番が終わって、着替えて、一休みして
他のグループを冷やかしてやろうかしらと、気まぐれに思った
裏からまわってみれば、普段よく鉢合わせするバンドの練習が終わりかけてて
一通り眺めてみれば顔見知りのあのコがいて
そのコもアタシに気がついて
声でもかけようかと近づけば ぎぎぎっ と耳障りな音
それに気付いた時 オレ は駆け出していた
「ただ、それだけ・・よ。」
と、呟いてそのまま眠った
* * * *
『どうしたのそのケガ!アヤ、大丈夫?』
アタシ はその言葉が嫌いだ。
「・・やっぱり無理かー」
しばらくは利き手は使いにくくなる・と言われたのは分かってたんだけど
ここまで書きづらいとはねー。
まぁ、授業とかはクラスの誰かに借りるとして、
ただ困るのはいいフレーズとか浮かんだときにとっさにメモできないっていうね、
当分はあそこで練習だから、あそこでだいたい過ごすわけだけど
・・・・・ちょー不便。
「はぁ。」
そんな訳で今アタシは会場の空き部屋にいるわけで
「せんちゃん来ないかなー・・」
いたら代筆頼むんだけど、でもせんちゃんも学校とかバイトで急がしーし。
ひまだな・・
「アヤ?」
そう思ってたら、遠慮がちに入ってくる影が一人
・・・ありゃ
「やっほー、計里ちゃん。今日早いのねー」
今日は早く終ったから・と彼女は続けて、アタシの隣に腰を下ろした
「・・大丈夫?」
ちくり、ああイライラする
「うーん、まぁこんな感じだけど^^」
嫌いよこの言葉、アタシはそんなに弱くない、そんな顔して聞かないで、たいして心配もしてないくせに
「・・・」
「・・・」
え、気まずっ・・・
多分このあと彼女の仲間たちも来るだろうから、とこの空気から逃げようと腰を上げかけた
「アヤ、ごめん。」
唐突に、いや待ち構えてたかのように彼女は言った
「――っ、別に計里ちゃんのせいじゃないわよ^^」
あれはアタシのへまだもの~・なんて彼女の髪に触れた
そしていつもの様に いつのも笑顔で
「ありがとう、だから、気にしないで?」
そう言えば、みんな微笑むの、いつもならこれで上手く行く
はずだった
「・・―そんな顔しないで」
ぴしゃり・と彼女は言い放って、アタシの手を払った
「そんな風に笑わないで。」
――は、なにそれ。
じゃあどうしろって言うの
こうすればアタシもアンタも傷つかずに済むんじゃないの?
「アヤ、これ詩書いてたの?」
意味が分からなくてしばらく黙ってたら、彼女はさっきまでアタシの書いてた紙をしげしげと眺めてた
「汚い字・・」
「ほっといてよ、ほんとはちゃんとかけますー。だいたいこんな腕で書けるわけ・・」
はっ・と口をつぐむも、時すでに遅し
「計里ちゃ・・」
「じゃあ、私が書いてあげる。」
・・え。
彼女がどんな悲しそうな顔をしてるのかと思いきや、うっすら微笑んでアタシを見上げてた
「ほら、座ってよ」
「いや、でも」
「遠慮はいいよ、こっちの時は壱千さんが来るまで私が代筆してあげる。」
なんて勝手に言いながら手にボールペンをもって構えて、さあ早く!なんて
――ぷっ。
「・・なんだよそれ。」
思わず噴出した、なんだか変におもしろくて
「・・・私、そっちの笑ったアヤのほうが好きだよ。」
「そ・う・・?」
うん、と素直に頷かれるとやけに気恥ずかしい、しまったさっきのは素だったと気付いたのは数分後
「アヤ?」
「大丈夫?」
そうか、違うんだ。
* * * *
「うん。」
「まだ出来ない事があったら私に言って、」
「わかった、そうね・・じゃあ」
オレは笑って言った
だいじょうぶ、って。
そういうとキミも嬉しそうに笑った
(キミの言ったそれは、オレの魔法の言葉でした)
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