仄◆二の腕の柔らかさ。

仄→
木ノ下さん、聖さん、お借りです！

◆◆◆

今は九月の中旬

天気も不安定で昨日は冷え込むような寒さだったのに、今日は朝から日が真上から差している

もう秋だっていうのに･･･


「あつい、ねー、仄」
「･･・・うん。」


今日は朝から朝礼があって、今は校長先生のお話の真っ最中
「ほーのーか？」



さっきからどうにも体調が良くない、最近は平気だと思っていたのに、頭がくらくらしてきた

・・まずい　かも



「ひじり　ちゃん、」
「んー？・・・えっ・・仄！？」

私はそう呟いてその場に倒れた





＊　＊　＊　＊





目が覚めるとそこは雲ひとつない秋晴れの空じゃなくって、見慣れた保健室の天井だった

だぶん今回のもいつもと同じ、貧血かたちくらみかなにか
最近は平気だと思ってたのにな・・・

いつものことだと思って少しだけぼーっとして、先生に声をかけようとしてふと顔を上げた




「・・・あ、起きた。」

そこにはいつもと違うヒトがいた



「ゆーくん・・！　？」

え、なんで、彼がここに！ここ保健室だよね！？え、今何時間目！！？


「いまは昼休憩だよ。」

・・・それから、先生はいまコーヒー貰いに行ってて、桃花鳥は荷物取りに行ってる
俺は、先生に代わりに看とくように頼まれた。


ひとり慌てている様子を察したのか彼・・ゆーくんは読みかけの本を閉じて私にそう言った


「・・ゆーくんエスパー？」
「いや、なんとなく。」

こともなさげに言う彼を見て、びっくりする反面、うれしかったり変な気持ち。



「えへへ・・またやっちゃった。」
私が気分悪くなって保健室で一日のほとんど過ごしてしまうのはいつものこと、
情けないくらい私は体が弱い、でももう慣れた

「無理しなくていいから。」
上半身を起こす私を見ながら、優しくそう言った

「・・・うん。」
いつも私の事を気にかけてくれるその優しい言葉が　辛い






「昔、ちっちゃい頃によく二人でお昼寝したよね。」
「うん。」

私達は幼馴染で、よく一緒に遊んで、本を読んで、空を見上げてた

遊んで疲れてお昼寝なんていつものことだった


「それでふたりでこう、どーんって・・」

お昼寝するときに枕なんてそばに無かった、小さい頃から私は枕がないと良く眠れなくって
だからよくゆーくんの腕を枕にさせてもらって寝てた
よくやってたなぁ、なんて思うとはにかんでしまう


「どうかした？」
今となりに居るのは、もうとっくに私の身長なんて追い抜いてしまったゆーくんで
すと何故か昔の様子と重ねてしまって、
また可笑しいなぁ、なんて思ったら急に恥ずかしくなってしまって。


「・・・ううん、なんでもない、懐かしいなって。」
ごめんごめん、と言うと彼はちょっと考えてぽつりと言った





「また、やってあげようか？」


「・・え」


「“腕枕”」


「な」



・・それは本気で言ってたのか分からないけど、一体どういう意味で言っていたのか
きっと彼は“幼馴染”としての冗談かなにかで言ったんだと思う



「あ、でも保健室は枕有るから要らないか。」
なぁ。と、私を見て

でもそれでも私がまだ枕がないと眠れないと覚えていてくれた上で、言ってくれた“それ”の発言なら



「ふふっ」
「なに笑ってるの？」

「ううん、別に！」


あなたは昔と変わらず優しいまま
ときどきそれが辛い事があるけれど

受け止めてくれるヒトがいるなら安心できる




二の腕の柔らかさ。

（今でも忘れられないあの優しさは変わらないまま）






◆◆◆
自分の事を思ってくれる木ノ下さんに一喜一憂する仄。を、書きたかったです、なんだかぐだぐだ・・・
そして昔話捏造失礼しました・・＾ｑ＾←

（knhn：0923）